ルパンの伴奏
なっちんが昨日、満面の笑みで帰宅した。
先週の金曜日、学校へ出かける時に、不意に彼女は
「なつね、今度の音楽の授業でルパン三世の合奏をやるんだけど、タンバリンにしようかと思ってるんだ。」
と言っていたのに、帰って来たら、なんとピアノをやることになった。と言って楽譜を持ってきたのである。
聞くところによると、タンバリンはなかったから、仕方なくピアノに手をあげたら他に誰もいなかったらしい。そして極め付けに先生が、
「なっちゃんのピアノは、上手いのよ〜!みんな、期待しててね!」
と、言っちゃったそうで、なっちんは蒼白な顔をして、
「どうしよう〜。ハードル高いよ、カアカ〜
」

と、崩れ落ちたのである

こりゃあ、この素晴らしい機会をムダにするわけにはいかない。オイ、ここはひとつ、先生の期待に応えて頑張ってみよ。そして、日頃キミをバカにしているらしき男子どもを仰天させてやるのだ!と、はっぱをかけた。
なっちんは始め、それでも自信なさそうにヨロヨロとしていたが、ちょっと譜読みをさせてみたら、これは弾ける。と気付いた様子。そのうちサクサクと練習をし出して、聴いてみると音はだいたい、自分で取れていたから、あとはリズムだ。ルパンは、これが難しい。しかも合奏なので、旋律に合わせられなければいけない。まあ、二日間くらい、ある程度特訓してやって、あとは放っておいた。すると、けっこう難しい楽譜だったのに、知らないうちに完璧に弾きこなしていたようである。
そういうわけで、初めての合わせがあった昨日、彼女は満面の笑顔で帰宅したのである。
「カアカ、やったよ。みんな、ビックリしてたよ。嬉しい嬉しい!
」

と喜ぶ彼女。
初めての、パート練習。見回ってきた先生は、なっちんのピアノを聴いて仰天したらしい。まだ一週間も経たないのに、彼女の演奏は完璧であった。そして、男の子たちは「なつ、スゲー!」とビビってアコーディオンを落とし、先生に叱られたらしい。女の子たちは、「なっちゃんのピアノだけ聴いてみたい。私も弾いてみたい!」と褒め称えてくれたらしい。
仰天したのは彼らたちだけではなかった。何を隠そう、この私もビックリした。あれ?右側のページ、つい最近まで弾けてなくって、つっかえつっかえだったじゃない?彼女は「弾けてる」と言っていたが、まだ当分、合わせられないだろうな、と思っていた。それが、どれ、聴かせてみせな。と言ってみると、本当にスラスラと気持ち良く弾けていたのである。いや、いつもこの子は、そうだった。ある時急にできるようになっている。面白いもんである。子どもって、あなどれない。
成功体験ってつくづく必要で、こうして皆、努力と成功、そして失敗を繰り返して大人になってゆくのだと思う。私など、子ども時代はどちらかと言うと、いや、言わなくても、成功の方が多いと思っている、自信過剰なガキだったから、少しは低姿勢になることを覚えていったものだが、彼女のように「自分は出来ない」と思いこんじゃってる子には、自分の素晴らしい才能にどんどん気付いていって欲しいと思っている。
人はみんな、素敵な才能を持って生まれてくるのだ。そしてそれを世の中の人のために貢献するように生まれついていると思う。それに気付くか、気付かないかで大きく変わってくるのであって、ダメな人間なんて存在しない。私はそう願いたい。
なんかエラソーなこと書いちゃったけど、それ以来、音楽の授業だけは待ち遠しいと言って飛び跳ねているなっちんに、密かにエールを送るカアカである。
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