我が相棒よ
もうじき、教室のピアノがリニューアルされるって言うんで、今週のレッスンでは生徒たちが皆、沸いていた。
置いてあるカタログを見て、
「うわっ、たかっ!
」

と思わず叫ぶ親御さんやら、
「なんだぁ、今日はまだ新しくなってないのか〜」
とつぶやく生徒やら。
ハイ、搬入は、19日であります
しばしお待ちを。そんでもって、20〜23日まではレッスンたまたま休みになってるので、初めて弾く子たちは24日の金曜日組からになります。


と告げると、
「わ〜、金曜日なら良かった、惜しい!
」

とか、またまた沸く生徒たち
なんだかこちらまで嬉しいです。やっぱりみんな、興味があるのね。そりゃそうだよね。

「このピアノともお別れか〜」
と、中には言ってくれる子たちもいる。それもまた、嬉しい。
そうなのです。私にとっちゃ、音大に入った頃に両親にお願いしまくってようやく買ってもらい、それからずっとこのピアノで練習してきた相棒である。そして、「出世払いで返せよ」と言う父に、テキトーにわかったわかった!なんて返事して、幸か不幸かちっともボケなかった父はしっかりと覚えていたもんだから、留学から帰ってバッチリ返済させられた。そんな私のピアノ。どこの倉庫へ行くかわからないよりはずっと、可愛い生徒に貰ってもらえて嬉しい。だけどやっぱり寂しい。古女房と別れる感じか。
寿命が来ていないのに新しい楽器を何故買うのか?そこんところを、きっと、日常に結びついてる車を買い替える感覚とは違い、楽器をやっていない人にとってはナゾなことでしょう。
何故って、それは、今まで出せなかった音色を更に追求するためである。
少なくとも、私はそうである。更に良い楽器で、綺麗な音を楽しむというのももちろんあるけど、それだけじゃない。
ピアニストの宿命は、相当な英雄でない限り、自分のピアノを持ち込んでの舞台などできないことである。だから、どんなピアノとも瞬時にうまく付き合えなければいけない。そして、今まで結構悔しい想いをしてきた。あの、舞台にあるスタインウェイ。本番だけじゃなくって、普段から弾きこなせたらどんなにいいだろうと。ま、個人的には、そんなにスタインウェイは好きじゃないんですが。
良い楽器に変われば、音色が変わる。色鉛筆で例えるなら、24色だったものが36色になり、42色になり…
「ここを、もっとこう、豊かな響きで表現したい」
と思っていたところを、弾き手の想いを反映してくれるかのように繊細に反応してくれる楽器を求めて、そして音楽をもっと深めるために発掘する作業がしてみたい。
こんなPP(ピアニッシモ)が出してみたい。そう思って、できなかった。でも今度の楽器はどこまで反応してくれるんだろう。そんな期待。そして、自分のアラが見えるようにもなりたい。なんていうの、例えるなら、普通の鏡に映していても気付かなかったお肌の欠点が、拡大鏡に映してみたら気付いてしまった!みたいな?それだったらわかる?だから、そこを更に修正する。そんな作業がしてみたい。
今の子が出て行く寂しさプラス、新しい子がやって来る楽しみが微妙に溶け合い、心ざわめきながら、最後の練習を楽しんでいる。
そんな夕べのカアカです。
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