なぜピアノはやめると弾けなくなるのか
数ある習い事の中で、ピアノほど、先生と一対一で、10年を越すお付き合いがザラなのもないんじゃないかと思う。
そしてうちのピアノ教室の子たちは、ず〜っと長く続けている子が多い。
中学に入る時、高校に上がる時、節目節目で迷うこともあるかと思うが、だいたいみんな、細く長〜く続けて行く。
でも、一番多いのが、中学に入ってやめてしまうピアノ。
私は何回かこのことについて書くけど、
「ピアノは、なぜ、やめてしまうと弾けなくなるのか?」
について、ちょっと触れてみたいと思う。
小学生の時は、ピアノをがんばってた。これだけ弾けるようになったんだから、やめたって、弾けなくなることはないんじゃないか。
と、思ったりしますよね。
もちろん、弾けなくなることはないと思う。習ってなかった人よりは、断然。それは間違いない。
だけど、断言するけど、小学校卒業まででピアノをやめたら、たぶん大人になってから弾けるのは、昔やってたブルグミュラーやソナチネ。つまり、「昔、一度弾いたことのある曲」のみである。
弾いたことのある曲っていうのは強い。指が覚えているから。楽譜を見れば、なんとな〜く思い出せる。だけどそれは、先生の力を借りて教えてもらっていたから。自分の力だけで、譜読みしたものではない。間違ったところは直してもらい、わからないリズムは教えてもらえた。そうなのだ。
わかりますか?つまり、小、中学生の間は、勉強している曲がどんどん、進化して行く時期。新しいことだらけ。耳だけじゃ、なかなかついていかない。そこへ、先生の模範演奏が入る。ああ、そうなんだ!と、正しい方へ行くことができる。だからつまり、自分だけの力で、ひとつの曲が仕上げられるのは、たぶんレベルを2段階くらい下げた曲である。だけどまわりの、ピアノをよく知らない大人たちは、「この曲が弾けたんだから、このレベルの曲は弾ける力がついている」と勘違いしてしまう。
だからね、それだけのことだと思うんですよ。
「ピアノをやめちゃったら、弾けなくなる理由」
というのは。
弾けなくなるんじゃない。弾けていなかっただけ。
常に、自分の力よりも少しランクアップしたくらいの曲を、先生と一緒に勉強していたのだ。ということ。
だから、いつからだろう、自分だけの力で、きちんと譜読みをやり、完成に近い形で師匠のレッスンに持っていけるようになったのは。
それは高校生の頃だったのか。はたまた、大学の頃だったのか。
気がついたら、新しい曲を、間違えることなく、譜読みができるようになっていた。
音楽を知り、楽語を学び、作曲家の意図を読み、自分の表現を取り入れつつ弾けるようになっていた。
そう考えてみると、本当に音楽の世界というものは深いものであると思う。
完成のない世界。完璧のない世界。正解のない世界である。
まあ、あんまり難しく言うとわかんなくなっちゃうけど、そうだなあ、センセーから言わせてみれば、高校生くらいかな、一通りの曲をだいたいこなして、それで、一休みしたくなっても、そうそう忘れてはいないだろうという頃は。
もちろん、別にそこまでこだわらなくたっていい。好きならば続ければいいんだし、忙しければ、いったん中断してもいいと思う。
だけど今回は、「なぜ、ピアノは途中でやめると弾けなくなるのか」
ということについて、書いてみた。
弾けなくなるのじゃない。もともと、自分一人だけの力ではない時期にやめてしまえば、弾けなくなる。
それだけのことだと思えば、納得なのではないでしょうか

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